PART1─9私はお酒というお酒がほとんど飲めなかった。
けれど飲めるお酒もたまにあった。
おまえホントお子ちゃまなのな。
どんなにからかわれても私にはくすぐったいだけだった。
ほれ、これ飲んでみ?
これなら甘いしお子ちゃまのおまえでも飲めるから。
そう言ってセレクトしてくれたお酒だけは、ほとんど飲めた。
それは私にも不思議としか思えなかった。
な?
うまいだろ?
多分この時のあいつのそんな顔が見たいからじゃないのかと思った。
垂れた目尻が優しくてキュッと上がった口角からはどんな魔法が飛び出すのかわくわくした。
でもそれ以上飲むなよ?
お子ちゃまは限界を知らないと大変なことになるからな。
そうあいつが言って、二人で笑い合った。
私はお酒というお酒がほとんど飲めないけど、飲めるお酒もあるんだとあいつのお陰で知る事が出来た。
それが嬉しくて仕方なかった…。
蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。
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