PART1─12たとえば、メール。
気軽に送れて電話をかけるよりも早かったりする。
今となってはもうなくてはならないツール。
便利になった。
だけどその便利さがいつしか恐怖へと変貌する。
一瞬相手と繋がったように錯覚をし、いつまでも見えない糸を手繰り寄せ続ける。
その錯覚が心地良いのかもしれない。
思えばあいつと出会った時もそうだった。
いつでも会える環境ではなかったせいか、私はメール魔と化していた。
あいつ専用のフォルダを作り、あいつ専用の着信音を設定し、あいつ専用の絵文字を使う。
私は用事がなくても何度も送った。
だけどあいつは何通かに一度返す程度だった。
それは愛情が足りないからだ、という人もいるかもしれない。
だけど私はメール不精なあいつの性格を知っていたし、理解もしていたからそれでも構わないと思った。
今ではそれが寂しいなんて、少しでも繋がっていたいと思うなんて、やっぱりそれは私の我侭ですか──?
蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。
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