PART1─16あんなに不安だった毎日が嘘だったかのように、幸せは突然訪れた。
急に休みが取れたらしく、あいつの方からデートに誘ってきた。
「あー、でも、晴れて良かったなぁ」
「天気予報では“雨”だったもんねー」
「オレの日頃の行いがいいから晴れたに違いないっ!」
「えぇー、違うよぉ。私の日頃の行いが良かったからに決まってんじゃん!」
久し振りだったのに、会話が途切れることはなかった。
「何時からだっけ?」
「あ、映画?」
「そ!おまえが観たいとゆー、“ジョニー様”のな!」
「んもー、意地悪な言い方!」
「あははははは」
行きたい所は他にもたくさんあった。
だけどいざ会うことになったら、その全部が意味の無い物に思えた。
ただ会えるだけで良かった。
ただ触れられるだけで良かった。
こうやってただ笑い合えるだけで良かった──。
蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。
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