PART1─20───RRRRRR。
「ん゛っ」
ケータイを布団の中から手探りだけで探し当て、アラームを止める。
──ん?
なんで目覚まし時計が鳴ってるの!?
此処私の部屋じゃん。
あいつとデートしてたんじゃ…?
状況が飲み込めないでいる私を見兼ねてか、テーブルに置かれたケータイが私を呼んだ。
──あいつ、からだった。
「おまえいつまで寝てんだよっ!」
…え?
「デートするんじゃなかったのか?」
「……」
「約束の時間、もうとっくに過ぎてるぞ」
そう言われて、迷子だった思考回路の糸がようやく繋がった。
「あっ!」
「もしかしておまえ忘れてたのか?」
「う、ううん。忘れてなんか…っ」
必死で言い訳となる材料を探しながら、今までの出来事が“夢だった”と認識した。
うそだ…、うそだ…、うそだ…。
「で?どうすんだ?」
「え?あ、ごめんね?これからすぐ行くから!」
私はそう言ってあいつの返事を聞かずに電話を切り、布団を慌しくたとみながら、カーテンが揺れる爽やかな秋風の中で、一人パニクっていた。
「うそでしょー???完璧遅刻じゃん!!」
まさかまさかまさか、夢だったなんてね。
せっかくのハッピーエンドが全て夢だったなんてね。
うわあぁーん。
現実ってキビシーイ!
私はこれから起こるかもれない“夢の続き”を夢見ながら、あいつの元へと駆け寄って行った。
蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。
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