PART2─1「つばきちゃん…、元気でね?」
とってもとってもお日様が高く上った気持ちの良い日曜日、私はお父さんの仕事の都合で隣町へと越すことになった。
「うん!みさきちゃんもね!」
「電話もするし、お手紙も書くからね!」
「うん!つばきも絶対書くからね!」
みさきちゃんとは家が近かったこともあり、いつも一緒でつばきの大切なお友達だった。
「それにしても…かけるちゃん、遅いね…?」
「うん…」
「今日が最後だって知ってるのに、どうしたんだろ?」
「……」
かけるちゃんもみさきちゃんと同じくらい大切なお友達だった。
お隣に住んでいたせいか、顔を見ない日は無かった。
「でもさっき挨拶に行った時会ったから…」
「それでも!見送りには絶対来るべきだよー」
みさきちゃんはかけるちゃんが来ない事に少しイラついていた。
つばきとみさきちゃんとかけるちゃんは、保育園の時からずっと同じクラスで今日までずっと一緒だった。
これからもずっと一緒だと思ってた。
それが当たり前だと思ってた。
「じゃあ…、行くね?」
「…うん。つばきちゃん、私のこと忘れないでね?」
「みさきちゃんだって、つばきのこと忘れないでね?」
「うん!ぜーったいに忘れないよ!」
涙がこぼれ落ちそうになるのをこらえながら、私たちはそう誓い合って、お互いが見えなくなるまで手を振った。
まだ小学六年生の私たちには、電車で一駅分という距離がすごく遠く感じた。
───あれから六年の月日が流れた。
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