PART1─1「10時にいつものとこで」
張り切ってお洒落をしたのがバカみたいじゃない。
その約束だけで、どんなに辛い仕事だって頑張れたんだから。
「ごめん、な?」
あのカップルみたいに手を繋げるだけで良かったのに。
待ち合わせから1時間も遅れてキャンセルの電話。
3ヶ月も経つとこんなものなのかな。
私ばっかり好きで、あいつはきっと私なんて2番目なんだ。
無言のまま電話を切ったのは、私なりのささやかな抵抗だった。
あいつが約束を守らなかったことに怒ってるんじゃないの。
素っ気無い電話での口調に意地を張ってるんじゃないの。
あのカップルとすれ違った瞬間──。
一粒の涙が頬をつたった。
蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。