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hiro's Wondrous World.~自己満足ブログ~
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    100のお題009



    PART1─9

    私はお酒というお酒がほとんど飲めなかった。
    けれど飲めるお酒もたまにあった。

    おまえホントお子ちゃまなのな。

    どんなにからかわれても私にはくすぐったいだけだった。

    ほれ、これ飲んでみ?
    これなら甘いしお子ちゃまのおまえでも飲めるから。

    そう言ってセレクトしてくれたお酒だけは、ほとんど飲めた。
    それは私にも不思議としか思えなかった。

    な?
    うまいだろ?

    多分この時のあいつのそんな顔が見たいからじゃないのかと思った。
    垂れた目尻が優しくてキュッと上がった口角からはどんな魔法が飛び出すのかわくわくした。

    でもそれ以上飲むなよ?
    お子ちゃまは限界を知らないと大変なことになるからな。

    そうあいつが言って、二人で笑い合った。
    私はお酒というお酒がほとんど飲めないけど、飲めるお酒もあるんだとあいつのお陰で知る事が出来た。
    それが嬉しくて仕方なかった…。



    蒼い月
    蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
    写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
    何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。

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    100のお題008



    PART1─8

    ケータイの電池の蓋の裏には、二人で撮ったプリクラが貼ってある。
    2回目のデートの時に行った遊園地でのプリクラ。

    この歳になってプリクラ、恥ずかしくね?

    なんてあいつは嫌がってたけど、こうやって電池の蓋の裏にプリクラを貼るの夢だったから、宝物だった。
    たった1枚だったけど、最高の宝物だった。

    たまたまだけど、券が手に入ったんだ。
    一緒に行くか?

    テーブルに差し出された2枚のチケット。
    あいつは照れ隠しの為か、私の顔は見ていなかった。
    だけど指先が少し震えていたので、それが精一杯だと分かった。
    それが不覚にも嬉しく思えた。

    ありがとう!
    じゃあ今度の日曜なんてどう?

    私はしゅわっとはじけた炭酸のように心が躍るのが分かった。

    ねぇ、あの時の事憶えてる?
    ねぇ、あの時の事思い出してくれてる?

    どこにでもあるプリクラだけど、私のはこの1枚が今でも宝物なの──。



    蒼い月
    蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
    写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
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    100のお題007



    PART1─7

    向日葵、ありがとう。
    でもなんで突然向日葵…?

    私はそれだけ打つと、“返信”をせずに窓の外を見た。

    あいつは不器用だけどこういうところは優っていると思った。

    あの時もそうだった。
    私が仕事がうまくいってない時、何も言わずに話を聞いてくれたし、ずっと傍にいてくれた。
    私はそれだけで落ち着いたし、重たい何かがふわっと泡にでもなったかのように軽くなっていった。

    あぁ、この人のこういうところすごく好きだな、って思った。

    私たちはなんだかんだ言っても、まだ3ヶ月。
    知り合ってからは半年以上経つけど、まだ見えないものがあって当然なんだ。
    全て分かり合えたらそれはそれでベストかもしれない。
    けど分からないからお互いを必要とするし、こんなにも愛おしく思えるんだ…。

    私はもう一度ケータイに視線を落とし、さっきとは別のメールを打ち始めた。
    “私らしい”あいつにだけのメールを──。



    蒼い月
    蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
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    100のお題006



    PART1─6

    “新着メール1件アリ”

    ケータイを開くと、そこにはあいつの名前が表示されていた。

    「おまえこの花好きだったよな」

    画面いっぱいの向日葵の写真がすぐに目に飛び込んできた。
    たった一言だったけれど、私には涙が出る程嬉しかった。

    あいつ憶えてたんだ…。

    まだ付き合う前だった。
    正確には──まだ好き合う前だった。

    あいつは友達の友達で、何かの集まりで偶然一緒になったことがあった。
    正直その時までは── 一目惚れ ──なんて信じていなかった。
    全然好みのタイプではなかったけれど、気がつけばあいつを追っていた。
    あいつだけを追っていた。
    特別優しい言葉をかけられたわけでも、優しくされたわけでもなかったのに…。

    そこに咲いていた花が「向日葵」だった。

    だから私は向日葵が好きになった。

    向日葵があれば、あの時の事が“夢”ではなかったと思えるから。
    向日葵があれば、あいつへの“想い”が確かだと思えるから。



    蒼い月
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    100のお題005



    PART1─5

    人間て悲しいと思った。
    どんなに思い悩んでいてもご飯が食べたくなる。
    それもとびきり美味しいご飯が。

    食べ物を目の前にすると、何もかもどうでもいいように思えた。
    そして、お腹が満たされれば心も次第に温かくなった。

    もしかしたら私も2番目なのかもしれない。
    あいつを責められないのかもしれない。

    結局は自分が可愛かっただけなのかも…。

    そう思うと、何だか胸の奥のつっかえが取れたような気がした。
    と同時に、バッグの中でブルッと振動するのが分かった。



    蒼い月
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    100のお題004



    PART1─4

    信号待ちしている時間はあまりに長く感じた。
    それはあいつからの着信を待っているのに似ていた。

    いつもの通りがやけに五月蝿く感じた。
    それはあいつへの想いと似ていた。

    ばかだな…。

    今日一日あいつに振り回されている。
    どこを見渡してもあいつは私の名など呼んではくれないのに。

    この信号のように、“進め”だったら良かったのに。
    いつだって赤信号で、“止まる”ことしか選べないなんて…。

    私はどっちを向いて歩いて行けばいいのかな。



    蒼い月
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