PART1─18ご飯にはまだ早いからと近くのカフェに寄った。
私は今もまだドキドキがおさまらない状態だった。
カフェオレが届くと、すぐさま一口また一口と飲み干していった。
テーブルにはあいつが吸った煙草の灰。
それをぼんやりと見ながら、こういうのっていいなと思った。
毎日会えるわけではない。
だからこういう時間が大切で無駄にはしたくなかった。
だけどただ向かい合って座ってるだけの空間が不思議と何よりも満たしてくれた。
「どうした?」
最初に口を開いたのはあいつだった。
「え?」
「ぼーっとしてる」
不器用だったけど、意図も簡単に気持ちを汲み取ってくれる。
「あ、うん。何だかこういうのっていいな…って」
「?」
「ううん。何でもない」
私は何だか急に恥ずかしくなって、あいつの顔から目を逸らした。
「ごめん…な」
「え?」
まだ中途半端に吸いかけた煙草の火を消しながらあいつが言った。
「あんまり会ってやれなくて」
………。
予想もしてなかった言葉にまた視線をあいつへと戻した。
「オレもすんげぇ会いたいと思ってる」
「……」
「だけど今の仕事正直手を抜きたくないし、まだそこまで考えてやれるゆとりが今のオレにはないんだ…」
優しい口調だったけど、どこか厳しかった。
「でも気持ちは変わってないから」
それを聞いた途端、胸の奥で詰まっていた物が一気にこみあげてきたかのように、涙が溢れ出た。
「オレは今も愛してる」
蒼い月さんで配布されている100題の写真詩集です。
写真に自由に言葉を紡いでいくというものです。
何か感じたものがあれば、コメントお待ちしております。